EN
Wong
恩堯(EN.WONG)
大学院,多摩美術大学,グラフィックデザイン
学部,北京服装学院,視覚伝達設計
Email enywongg@gmail.com
Tel 080-7967-3369
instagram enywongg
制作背景
仏教の六道輪廻は古き文化として、現代社会の人々 に交流が少なくなって、特に若者たちは仏教に対する 興味を持ってないということは問題である。 中国では、六道輪廻のビジュアル表現は主にタンカ から見られる。タンカはチベット文化のなかでもユニー クな絵画芸術として挙げられ、鮮明な民族特徴、強い 宗教的な色彩と独特な芸術スタイルで、明るい色使い で神聖なる仏の世界を表している。 そして日本も同じ「六道絵」という六道輪廻をビジュ アル的に表した作品がある。浄土宗が広まった平安時 代以降、民衆を教化するために多くの六道絵作品が見 られるようになった。長い絵巻には六道それぞれを描 き、当時人々の生活環境も再現した。
神秘感を唱える中国の表現かたと生活に親しむ日本の表現かたをどのように結ばせるか、伝統的な図形表現と現代の図形表現を融合できるか、どのように表現したら、もっと多くの人に仏教六道輪廻に対する興味を持ってもらって、共鳴してもらえるか、様々な問題を解決するために研究を進んでいこうと思っている。
制作内容
仏教の教えによる複雑な空間概念を表現するには、錯視図形を用いて空間の関係を表すことができると考え、これが同時に視聴者に想像の余地を与えることができると思う。平面の構成では、現実社会では存在しない、二次元空間で三次元の要素を用いたため、誤って表したものを錯視図形、または矛盾空間図形と呼ばれる。この空間表現は三次元の世界で存在しない二次元的なものであり、三次元の空間で再現することもできない。この図形の表現は六道輪廻の存在性をめぐる観点と共通することが多い。そのため、錯視図形と六道輪廻概念の共通点から着手し、六道輪廻の図形表現の可能性について研究していきたい。MC エッシャーの作品から錯視図形応用の理論と仏教六道輪廻と共通している観点が多くある。研究によってエッシャーの作品そのものに含まれる数学性を解き明かすことができ、同時にエッシャーの図形表現で新しい六道輪廻の視覚表現可能性を追い求めることもできる。
目的&価値
一方現代社会では、六道輪廻の表現は一般人から遠ざかられる芸術作品にだけ注目しては物足りなくなる。いかにビジュアル言語を駆使して現代社会の六道絵を描き、六道輪廻の表現により豊かな可能性を与えることが重要である。有効にそれを広げるために、共鳴と交流は図形表現において重要な研究課題として挙げられる。
仏教美術のなかに見られる人類の叡智は、未来に受け継がれるべきだと考えている。コンセプトの見せ方という視点からみても、さまざまな視覚的工夫が見られる。ただ、現代においては、それらは過去のものと見られがちだ。そこで私は、デザインのさまざまな手法を盛り込んで、これらの叡智を現代によみがえらせたいと考えている。例えば、ショッピングモール・ビルのテナントの状況を伝えサインの図形は、仏教美術の叡智を伝え、かつ新しいグラフィックデザインの発見につながると考えている。
作品表現
そこで私の作品は錯視図形(矛盾空間)を取り入れて、それと仏教の理論、仏教の特性との共通点に着目して、より深めた議論で矛盾空間が仏教理論と世界観を再現する可能性を検討してみた。伝統的な図形表現と現代の図形表現も結んでみた。
中国のタンカを基いて、神秘感を余す、共鳴してもらえるため、人間に親しむ日本の六道絵のように現代社会の生活状況を表し、中国と日本の仏教文化の交流を目指して、作品を制作している。